第2回目はプロンプトマスターと言われるような『ChatGPTを使いこなすための”型”』の紹介と、実際にビジネスに”即”使えるプロンプトを例に紹介します。
なぜこのテーマなのか?
それは私が本業で新規事業企画を推進をしている上で、業務効率の劇的な改善を体感しているからです。
とはいえ、最初からかなり踏み込んだプロンプトの手法や知識を紹介してしまうと、「なんだかめんどくさいのね・・・」という気持ちにさせてしまい、実際に「使う・さわってみる」まで行かないのが現状です。
今回は、”即”ビジネスで使えるプロンプトを例に紹介しますので、ChatGPT等のサービスを一緒に動かしながら進めていきましょう。
本ニュースレターは、一度読んで終わりではありません。
ブックマークしておき、使いたい時に呼び出し、参考にしながらリファレンス的に使ってほしい目的で書き上げました。
結果、文字量は1万字超えです。
一度に読み進める必要はありませんので、ぜひ時間を数分、数十分でも用意できる時にじっくり読み、一緒に手を動かしてみてください。
あなたが生成AIを好きになり、この感動を分かち合える仲間となってくれることを願っています。
長篠の戦で、織田軍が3000挺の鉄砲をそろえ、当時最強騎馬軍団の武田家を壊滅的に一掃した話は有名ですよね。
この”鉄砲”が戦そのもののパワーバランスを崩し、大きく時代を動かしました。
今、まさにAIがその状況と似ていますが、実際は技術の変化が激しすぎて”鉄砲”というよりは”戦闘機”レベルの差があるくらいの進化です。
もし、信長が戦闘機で攻めてきたら、あなたは馬に乗って刀で戦いますか?
私は逃げます!無理!
さて、そんな革命的な技術ですが、実際に日本の普及率はどうでしょうか?
2024年2月時点での生成AI導入企業は18%どまりという衝撃的な状況。
生成AI(人工知能)を業務に導入済みの日本企業の割合は18.0%にとどまることが、野村総合研究所子会社のNRIセキュアテクノロジーズ(東京)の調査で10日、分かった。同時に調査した米国企業の73.5%、オーストラリア企業の66.2%と大差があり、対応の違いが鮮明だ。
引用:生成AI導入、18%どまり 日本企業、米豪と大差(共同通信) - Yahoo!ニュース
ただ、この状況に悲観的になるのではなく、逆に18%しか導入していないのであれば、”今”AIを学び活用できる人は必ず「必要とされる人材」になれると思いませんか?
本記事では、プロンプトマスターと言われるような『ChatGPTを使いこなすための”型”』の紹介と、実際にビジネスに”即”使えるプロンプトを例に紹介します。
ベースの内容は、AI関連サービスを手がけるELYZAの野口竜司氏が書いている著書や動画を参考にし、『野口式 7Rプロンプト』を使っていきます。
また、Google Gemini・Microsoft Copilotも無料で使えることから、同じインプットでどのような変化があるのかも検証していきます。
アウトプットを見るだけではなく、一緒に手を動かし、ぜひ継続的に使っていってください。
本題に入る前の準備運動として、現在のAIでできる現在地を共有しておきたい。
問い:「ことば×AI」でできることは何か?
回答:以下のとおり
え?本当に?と思ってしまいますよね。
今回は触れませんが、このニュースレターでは今後、これらの7つのテーマについても実際に手を動かして紹介していきます。
それでは本題です。
この7つの要素を意識しながら使うだけで、あなたは『プロンプト上手』になります。
ここでは、サッと読むくらいでOKです。
詳しくは次章で説明します。
これだけでは座学なのでピンと来ませんよね。
それでは実際に『ChatGPTを使いこなすための”型”』を紹介します。
これはAI関連サービスを手がけるELYZAの野口竜司氏が編み出した、ずっと使えるフレームワークです。
これによってChatGPTに抜け漏れなく指示が可能です。
非常に素晴らしいフレームワークですが、最初から7Rで指示しなければならないと思うと挫折してしまいます。
「もっとサクッと使えないの?」という気持ちにお答えして、シンプルな方法から実行していきましょう。
この『7Rプロンプト』は3つのレベルに分けることができます。
3つのレベル別プロンプトとは
まずは、”1”の「簡易プロンプト」を覚えるだけでも、かなりChatGPTのアウトプットが変わってきます。
そして、今回のニュースレターで掘り下げるのは「簡易プロンプト」となります。
というような時間軸で取り組んで行くことをオススメします。
ぜひあなたのペースで進めていってください。
簡易プロンプトはとっても使いやすいです。
たったこれだけでアウトプットの質が向上します。
実際に「簡易プロンプト」を入力してみましょう。
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あなたは営業部長です。
役員へプレゼンし、新製品の拡販キャンペーン企画を通すためのポイントを3つ挙げて、リスト形式で出力してください。
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営業部長として、新製品の拡販キャンペーン企画を役員にプレゼンし、承認を得るための重要なポイントをリスト形式で出力します:
- 競合他社の製品との比較分析を行い、新製品が市場においてどのような独自の価値を提供するかを明確にします。市場調査を基に、顧客ニーズや市場のギャップを特定し、新製品がこれらのニーズをどのように満たすかを示します。
- 短期および長期の販売目標を設定し、それらを達成するための具体的な戦略とアクションプランを提案します。販売チャネルの最適化、プロモーション活動、ターゲット顧客へのアプローチ方法など、具体的な戦略を通じて、新製品の市場浸透をどのように加速させるかを説明します。
- 投資対効果の詳細な分析を行い、キャンペーンによる予想収益と比較して投資額を正当化します。さらに、可能なリスクや不確実性を事前に識別し、それらに対処するための戦略を提案します。リスク管理計画を含めることで、企画の実現可能性と持続可能性を役員に安心させます。
これらのポイントをプレゼンテーションに組み込むことで、新製品の拡販キャンペーンの価値と効果を役員に明確に伝え、企画の承認を得るための強力な根拠を提供できます。
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Geminiの良い点は、一度の指示で数種類の回答を用意してくれること。
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新製品拡販キャンペーン企画:役員向けプレゼン資料
営業部長: [氏名]
日付: 2024年2月17日
概要
本資料では、新製品「[製品名]」の拡販キャンペーン企画を通すためのポイントを3つご紹介します。
1. 徹底的なターゲティング
2. 独自の価値提案
3. 多様なチャネルの活用
結論
上記のポイントを踏まえ、効果的な拡販キャンペーンを展開することで、新製品「[製品名]」の販売目標達成を目指します。
補足資料
質疑応答
役員: ターゲティングを絞り込むことで、販売機会を逃す可能性はないのか?
営業部長: 確かに、ターゲティングを絞り込むことで、潜在的な顧客層へのリーチが減る可能性はあります。しかし、限られたリソースを効率的に活用することで、より高い販売効果を期待することができます。また、ターゲット層以外への訴求も、必要に応じて検討していきます。
役員: 競合製品との差別化ポイントが明確でないように感じるが?
営業部長: ご指摘ありがとうございます。現在、競合製品との比較分析を進めており、近日中に詳細な資料を提出いたします。新製品は、[差別化ポイント1]、[差別化ポイント2]、[差別化ポイント3]といった点において、競合製品に優位性を持っていると考えております。
役員: オンラインチャネルの活用に重点を置いているようだが、オフラインチャネルはどのように活用していくのか?
営業部長: オフラインチャネルでは、店頭デモやイベント開催などを通じて、顧客に製品を実際に体験してもらう機会を積極的に設けていきます。また、販売員へのトレーニングも強化し、顧客への的確な商品説明と提案ができるよう体制を整えていきます。
役員: その他、何か質問はありますか?
役員: なし
営業部長: 本日はありがとうございました。新製品「[製品名]」の拡販に向けて、引き続き努力してまいりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
――――
3つ用意された回答案の中でも、役員からの質疑応答まで含めたアウトプットは非常にありがたいですよね。
「簡易プロンプト」だけでも十分使えるレベルですが、ここから「詳細プロンプト」を加えていくとさらに精度が上がります。
一緒に見ていきましょう。
ここで野口式 7Rプロンプトのおさらいです。
1~3は「簡易プロンプト」、次は3~6を加えて「詳細プロンプト」としてプロンプトを書きます。
――――
あなたは営業部長です。
役員へプレゼンし、新製品の拡販キャンペーン企画を通すためのポイントを3つ挙げて、リスト形式で出力してください。
――――
7Rプロンプト方式を参考に1~6までの要素をプロンプトに組み込んでいきます。
――ここから――
#依頼
あなたは{#役割}です。
次の{#ルール}を必ず守り、以下の「新製品拡販キャンペーン企画」への想定質問と回答例を挙げて、{#形式}の形式で出力してください。
#役割
営業部長
#形式
#ルール
#評価
#参照
新製品について、以下の情報を参照してください。
製品名: クリアウォッシュ
ターゲット: 0歳~12歳の子を持つ子育て世代
製品特徴:
製品ラインナップ:
価格:
発売日: 2024年4月1日
販売チャネル:
キャンペーン内容:
詳細:
その他:
――ここまで――
それでは実際にChatGPTとGeminiで検証してみましょう。
指示どおりの内容を表にまとめてくれました。
GeminiもChatGPTと同じように表でまとめてくれました。
なんと、表の最後の「Googleスプレッドシートにエクスポート」を押せば、簡単にスプレッドシート形式に変換。流用性がかなり増しますね。
いかがでしょうか?
無料版のChatGPT3.5やGeminiでも、「簡易プロンプト」や「詳細プロンプト」を設定するだけでアウトプットの質がグン!と上がりますよね。
チャットとはいえ”あいまい”に指示をするより、構造的に指示をしたほうがAIも効率よく理解して良いアウトプットを出してくれます。
それでは、7Rプロンプトの最後は「実行シナリオ(Run Scenario)」です。
3つのレベル別プロンプトの3番、「シナリオプロンプト」になります。
それでは「シナリオプロンプト」のフェーズに進みましょう。
さぁ、ここまで来たらプロンプトマスターの道はもうすぐです。
「実行シナリオ(Run Scenario)」を含めたプロンプトを見ていきましょう。
今回「実行シナリオ(Run Scenario)」を組むことで、ChatGPTが「エージェント化」します。
つまり、あなたとディスカッションしながらChatGPTが自分で考えアウトプットをブラッシュアップしていくイメージです。
これは無料版のChatGPT3.5でも可能ですが、より確度の高い結果を得たい場合は有料版のChatGPT4をオススメします。
ちなみに、無料で使えるMicrosoft CopilotならGPT4が搭載済みですので、まずはCopilotを試すもの良いと思います。
また、Geminiでも検証しますので、ぜひ比べてみてください。
それでは「7Rプロンプト」フレームワークをすべてプロンプトに組み込んでいきます。
#ルールに「{#実行シナリオ}に沿って私とやり取りをしてください。」を追加
#実行シナリオ
ですが、より具体的にシナリオを実行するために、「#実行シナリオ」は今回以下のように変更します。
#実行シナリオに以下3点を追加
上記数行を加えるだけで、自発的に動くエージェントが自動的にできます。
――ここから――
#依頼
あなたは{#役割}です。
次の{#ルール}を必ず守り、以下の「新製品拡販キャンペーン企画」への想定質問と回答例を挙げて、{#形式}の形式で出力してください。
#役割
営業部長
#形式
#ルール
#評価
#参照
新製品について、以下の情報を参照してください。
製品名: クリアウォッシュ
ターゲット: 0歳~12歳の子を持つ子育て世代
製品特徴:
製品ラインナップ:
価格:
発売日: 2024年4月1日
販売チャネル:
キャンペーン内容:
詳細:
その他:
#実行シナリオ
――ここまで――
それでは実際に検証してみましょう。
実行シナリオどおり、アウトプットの最後に「どの案を起点に想定質問を追加リストアップしますか?」と聞いてくれました。
そこで、Q1「1. 質問: 新製品の競合他社対策はどのようにしていますか?」を起点に追加で想定質問を考えてもらいました。
無料のChatGPT3.5でも無事想定シナリオが実施できましたね。
Geminiも少しアウトプットにブレがありますが、実行シナリオどおり答えてくれました。
ただ、ChatGPTのように「どの案を起点に想定質問を追加リストアップしますか?」とは聞いてくれませんでしたので、以下のとおり追加質問することで実行シナリオが実行されました。
――――
想定質問のクリアウォッシュの競合製品との差別化ポイントは?について追加質問と回答を考えてください。
――――
無料で使えるCopilotはChatGPT4が標準搭載されています。もしChatGPTの有料版を契約していない場合は、Copilotで実行してみてください。
表形式で出力されましたが、右上の「Excel」アイコンを押すことで、Excel形式にエクスポートできます。Googleのスプレッドシートと同じく非常に便利な機能です。
しっかり実行され、アウトプット後は「以上の想定質問と回答例は、どの案を起点に想定質問を追加リストアップしますか?」と聞いてくれていますね。
追加で「競合企業への対策はどのように行いますか?の案を起点にお願いします。」と質問し、競合について掘り下げてもらいました。
最後は「以上の想定質問と回答例は、いかがでしょうか?このタスクを終了させてよろしいですか?」とタスク終了のトリガーも実行されており、「#実行シナリオ」がパーフェクトに実行されたことがわかりました。
基本無料でも十分「7Rプロンプト」フレームワークを使いこなすことができますね。
これであなたもプロンプトマスターです♪
仕事の悩みなどを相談できる同僚がまわりにいたとしても、365日24時間好きな時間帯にいつでも相談にのってくれるわけではありません。
そんなとき、この「7Rプロンプト」フレームワークで自分専用のコーチを作っておくことで、いつでもコーチングを受けることができます。
それでは、今まで学んできた「7Rプロンプト」フレームワークを使ってプロンプトを書いていきましょう。
――ここから――
#依頼
あなたは{#役割}です。
次の{#ルール}を必ず守り、私と相互に会話をしながら励ますコーチングを行って下さい。{#形式}の形式で出力してください。
#役割
コーチングのプロ
#形式
#ルール
#評価
#参照
#実行シナリオ
――ここまで――
※ChatGPT3.5ではうまく実行できなかったため、ChatGPT4(有料)で実行
――出力の一部――
ChatGPT:わかりましたやで!さっそく始めましょか。まずは「##近況報告」からやけど、最近どないなことがあったか教えてくれへん?何か心に残ってること、良かったことや悩んでることがあれば何でもええから聞かせてもらえると嬉しいな。
私:最近お客様から提供しているアプリの起動が遅いと言われ、かなり叱責を受けてしまいました。
ChatGPT:お疲れさまやで。そんなことがあったんやね。でも、お客様からのフィードバックは、改善のチャンスやと思わんか?起動が遅いって指摘を受けたってことは、その問題を解決すれば、もっとユーザーに喜んでもらえるチャンスがあるんや。何か原因や、もう既に解決策を考えとることがあるんか?
――出力の一部 ここまで――
※参照 ↓
最初の「##近況報告」だけでこの対話量でしたが、とてもポジティブな回答をしてくれてサクサク会話が進みました。
コーチング最高ですね!
Geminiではシナリオプロンプトがうまく動かず、勝手に自問自答してコーチングが終了しちゃってましたね。
気を取り直して、Copilotの出力を確認してみましょう。
さすがGPT4ベースなのでシナリオプロンプトが実行されました。
指定した「関西弁」などは反映されていませんが、十分使えるレベルだと思います。
このステップであなたはいつの間にかプロンプトマスターになっているはずです。
大切なのは、焦らず、できることからコツコツと、
そして、できるだけ「毎日」生成AIをさわる機会をもうけてみてください。
自然と業務効率がUPしている実感が持てるはずです。
無料で使える「ChatGPT・Gemini・Copilot」3つのアウトプットの比較はいかがだったでしょうか?
私個人ではやはりChatGPT(有料版)シナリオプロンプトのスムーズな実行、実行スピード、レスポンス含めて非常に使いやすいです。
また、本日は詳しく説明しませんが、ChatGPT上で自分好みのアプリを作れる「GPTs」という機能もあります。
これを使うことで、今回紹介した「あなただけのコーチングプロンプト」もアプリ化することができ、誰でも自由に呼び出して使うことができます。
実際に数分でサクッとGPTsを作ってみましたので、
ChatGPT(有料版)の方は、下記GPTsを試してみてくださいね。
■ポジティブ関西弁コーチング
https://chat.openai.com/g/g-nppcXAqHj-poziteibuguan-xi-bian-kotingu
こちらの作り方もニュースレターで届ける予定です。
楽しみにお待ちください。
おそらく、ここまでの流れで気づいた方もいるかも知れませんが、ChatGPTに指示するプロンプトは、人に指示する流れと非常に似ています。
つまり、プロンプトをしっかり書けるということは、あなたが上司となり、部下に指示をする時にとても役に立ちます。
また、部下、上司の関係ではなくても、同僚、家族、友人含めて、「誰かに何かをお願いする時」にこの7Rプロンプトを思い出してください。
きっとあなたはマネジメント上手になっているはず。
このニュースレターではみなさんからのご意見・ご感想を受け付けています。
みなさんの興味関心もお寄せください。
トピックによっては私が体験して『疑似体験』をお届けします。
ご質問に関してはニュースレターを通してご回答させていただきます。